レビュー
【lyrics】Lost Verse(s)
失くしたからこそ探せるものを
プレーヤーをシャッフルにして歩いていると不意に、昔大好きだった曲が流れてくる。
それはくじ引きのガラガラで大当たりの球が出た時のようなギフトで、再生されるのはもはや音楽ではなくて、その曲を聴いていた頃の僕(たち)や、景色、笑顔や冷や汗の理由、望んでいた言葉や夢が美しいストリングスや「ワー!」とか「ガシャー!」と鳴るギターとか無駄にギスギスした言葉に包まれ刹那でリブートされる。
これは遺失物なんだろうか?それとも血液なのだろうか?色を濃くして何処迄も纏わり付いてくるこの影なんだろうか?
そういう時、僕は歩く速度を少しだけ落としてその頃の未来、或いはいくつかの選択肢から選んだ今と今の僕(たち)の全てにゆっくりと微笑みかけてみる。嘘でも良いから。
もう少しだけ歩きたいからついて来い。影よ。っていう気分で。
今薄い胸に残っている感傷は失われた旋律達に殆ど捧げたと思う。
失くさないと探せないよ。
当たり前じゃん。
(門田匡陽)
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