story

Pocketful of stardust

あの晩ばら撒かれた星屑を探している。A Place, Dark & DarkA Place, Dark & Dark
「あぁ。これだ。確かにこんな形をしていた。」
と思っても大抵はただのロマンチック化石だ。
耳をつけても冷んやりとした感触だけで音は聴こえない。

「ここは一体どこなんだろうね」
Dark & Dark製のタバコは煙いだけで味気がない。
星々に監視されながら同時に計測する。自分の現在地を知る事など誰にもできないのだ。
ふと視線を重力に従わせると夏に命を萌やし尽くした新しい落ち葉や枯葉が申し訳なさそうにしていた。
それらは「どこにも辿り着く事のないチケット(乗車券)」Pocketful of stardustPocketful of stardustだ。
一枚拾いフッと息を吹きかけるとグラスファイバーの様にサラサラと音を立て消えてゆく。

「あ。今のはひょっとして極彩色か?或いはイプシロンは泣いてたよ」
ポケットの中に微かな熱を感じる。目を瞑っていても解る瞬き。

「よし。」
生まれたばかりの星屑だ。ちゃんとあの街の残骸だ。

「じゃあな。少し先でまた逢おう。」
僕は夜空にその星屑を放り投げた。できるだけ遠くの光に向けて。
あの晩ばら撒かれた星屑を探している。

-2地点

「あぁ。これだ。確かにこんな形をしていた。」
ブルーダイヤモンド製のツルハシがBPM123の速度で闇夜に8分音符を刻んでいる。
瑪瑙色ライトの眼をしたアンドロイドが2体、もう3000日は休むことなく黒々としたセル大地を掘っていた。

「ボクラノ血ノイロハナニイロダロウネ?」
「サァネ。手首ニ星屑手首ニ星屑手首ニ星屑ヲマケバワカルンジャナイ?」
「ナルホドネ」

それから先の3000 日はお互い会話のないまま時間だけが流れた。その間ツルハシのBPMは123から全く乱れなかった。

「コノマエノハナシダケド、メモリーシテル?」
「シテイルヨ。血ノイロノハナシダ」
「ソウサ。キミハ星屑ヲ手首ニマケバワカルトイッタ」
「イッタ。デモボクハソレヲススメテイルワケデハナイ」
「ソウサ。ボクハアレカラ72000ジカン、ズットソノコトニツイテカンガエテイタ。」

ブルーダイヤモンドのツルハシのリズムはBPM123をキープしたまま。セル大地の彼方まで静かな残響音を響かせている。

「モシカシタラボクハ血ノイロナンテシリタイクナイノカモシレナイ。」
「ソウサ。ソレハボクモダヨ。」

ブルーダイヤモンド製のツルハシがBPM123の速度で闇夜に8分音符を刻んでいる。
Pocketful of stardust

2017.12.24 [sun] @TOKYO KAGURANE

ダイヤモンドツルハシのリズムはBPM123だった。静かなアクリルブルーの夜、瑪瑙発掘隊は-2地点での発掘を終えようとしている。旧型アンドロイド工員のホワイトノイズの混ざったボイスが大きく静かな音色で響き渡った。

ソレデハ皆サンオ疲レ様デシタ。今回発掘デキタ星屑発掘デキタ星屑発掘デキタ星屑コレニナリマス

小瓶には白い星屑の欠片が幾つか入っていた。
アンドロイド達がイヤーセンサーの感度を上げると遠くの方から聞こえる花火のようなリズムが聞こえてきた。

アァ、コレハ「ただ美しく」ダネ。
ソウダネ。Graceダ。

ねぇ、ところでさ、僕たちはなんで星屑を発掘してるのか知ってるかい?

隣でエーテル水を飲んでいた赤茶色の猫がふとアンドロイド工員に話しかけた。

サァネ。

教えてあげようか?

マダイイヨ。

間もなくまた旧型アンドロイド工員のホワイトノイズの混ざったボイスが大きいが静かな音色で響き渡たる。

サァ、皆サン、コレデ-2地点デノ星屑発掘夜会ハ終了デス。次ハ-1地点ヘ移動シマショウ。物語ハ始マリヲ待ッテイマス。

ちぇっ。つまんないの。

赤茶色の猫が鳴らした小さな舌打ちは誰にも聞こえないまま闇夜にとけていった。

Pocketfull of stardust -2

2018年型の微笑む方法。

発光ポリマー炎がチリチリサラサラと音を立てている。
艶の無い漆黒の暖炉に鼻先をあてながら赤茶色の猫が弾けないギターを弾いていた。

これはキツイにゃ。肉球が邪魔をしてFのコードが弾けない。。

鳴らない和音を脳内で補完しつつ赤茶色の猫は眼を瞑りながら唄っている。

これはキツイにゃ。爪が当たって弦が切れてしまう。。

鳴らないフレーズを脳内で補完しつつ赤茶色の猫は眼を瞑りながら唄っている。

外ではアメジスト色の空から雪が振っている。冷たい真綿の一粒一粒が地面に触れる度、この世界から音を消していった。

ハッピーニューイニャー
ハッピーニューイニャー

赤茶色の猫が唄う和音もフレーズもよくわからない歌だけが空中を彷徨っている。
声は言葉を一つしか選べない。心は沢山の星屑で溢れているのに。
赤茶色の猫はなんとなくそんな事を考えながら唄っていた。
やがてその恣意も忘れ、ただ何かに心を込めて唄っていた。

体に悪い色のアルコールを出すBARから出てきたアンドロイド工員達が
幽霊のリズムでターミナルステーションへと向かう時刻。
彼らのイヤーセンサーは音の無い世界でコードもフレーズもよくわからない唄を受信した。

イヤァ。コレハ酷イ音ダネ。地獄デ硝子ガ割レタラバ、コンナ音ガスルノダロウネ。
確カニ酷イ。アノ赤茶色ノ猫ノ声ダ。

それから何も喋る事なくアンドロイド工員達は幽霊のリズムをキープしたまま歩いていった。
やがてターミナルステーションで別々のホームへと消えていく。

ハッピーニューイニャー。
ウン。ハッピーニューイニャー。

それはこの街の誰もが巡り合わせの幸運を静かに祈る夜。

これは番外編。

Story -2 → -1 ~ルールは一つ。ただ美しく~

ep1

これは物語
ばら撒かれた「未来」を発掘する「昨日」の夜伽
盲目のアンドロイド達は星の光で目を洗い
永遠に眠ることの無いセンチメント
僕らが「一人」或いは「一つ」のままで探した美しさの欠片達
ありふれた言葉や指紋のついた答えが
ありふれた言葉だからこそ、指紋のついた答えだからこそ魔法に還る軌道
あの晩ばら撒かれた星屑を探している
これは物語
Pocketful of stardust
季節はそう。
最初は冬だった。
ep2

非常に哀しい男の話をしよう。
その男の職業はおそらく宝石商。外見は酷く痩せていて年は壮年。瞳の色は夜よりも暗い漆黒さ。
奴はなんか不思議な奴だったよ。
こんなしみったれた体に悪い色のアルコールを出すBARに来る連中なんて
大体みんな日頃の憂さを吐き捨てたい奴らって相場は決まってるんだがね。
何時も気づくとカウンターの端に座って、誰と話すって事もなく一人で黙ってマティーニを飲んでるわけよ。
それがまた絵になるっていうか、笑っているのか泣いているのかよく解らない表情でね。
実に哀しそうな飲み方だった。
ここにたむろしてる下品な輩達もどんなに酔っ払って羽目を外しても奴には悪い絡み方はしなかったね。
そういうの解るかい?
奴が座って、黙ってマティーニを飲む姿はなんか神聖な佇まいだったんだよ。

ある日俺が
「よっ。宝石商のダンナ。しばらく顔を出さなかったじゃねぇか。死んじまったかと思ったよ。」
って言ったら奴は何て言ったと思う?

口元だけ笑いながら
「そうですね。もう少し登場シーンを増やさないと忘れられてしまいますね。」
だってよ。
まるで物語の中を生きているような口ぶりだろ?
まぁ、それが真理さ。
人生なんて所詮喜劇か悲劇。或いは幕間劇だからな。
まぁ、とにかくその一言で奴のことが気に入っちまったのさ。
あれはいつだったけなぁ?
あ、そう、そう秋だった。
心の夕焼けがやけに寂しかったもんさ。
ep3

そんな調子で何を考えているんやら解らない男だったけど、
奴の一番の謎は何時も大事そうに小脇に抱えていた赤茶けたアンティークの鞄さ。
酒を飲む時も決してカウンターの上にも横の椅子にも鞄を置かず膝の上に乗せているんだ。
まぁ当然のようにその中にはお高い宝石が山ほど入っているに違いないって噂になってね。
ある日俺はついに奴に聞いたよ。
「なぁ。あんた、いつも大事に抱えているその鞄だけどさ、
一体どんな宝石が入っているんだい?アレキサンドライト?はたまたブルーダイヤ?
どっちにしろ俺には一生かかっても縁がない代物だろ?一回本物の宝石様って奴を拝見したいね。」
ってさ。
すると奴は例によって口元だけ笑ってこう言ったんだ。
「アレキサンドライトにもブルーダイヤにも興味がありません。
それらを持っていたとしても涙は止まらないでしょう。
この鞄の中に入っているのはそういう類のものではないのです。
私はこの鞄の中に何が入っているのか知ってはいますが、持っているかは解らないんです。」
わけがわからないだろ?
でも、まぁその時の奴の哀しそうな顔ったらなかったね。
ep4

「この鞄の中に入っているのは星屑です。」
「あらゆる思い出が飛び散ったあの晩から私は随分長い間星屑堀りをしていました。
この鞄の中にはおそらくそれらが入っているのです。」
俺がその時思ったことは一つさ。
おいおい。おそらくってのははっきりしねぇな。珍しく酔いが回っちまってんのかい?この旦那。
ってね。
まぁでも天の川から霧が滴る寒い夜だ。
たまには賭け事以外の暇つぶしも大歓迎さ。
俺は言ったよ。
「なぁ、旦那。やっぱり興味が治んねぇな。
俺さんには銀貨なんて一枚もネェから買わないのは前提だけどさ、
ちょいとその中身見せてくれよ。」
ep5

僕たちはおそらく少しずつ世界を忘れながら生きている
光も言葉も、やりたいことがやり残した事に変わってしまった事さえも、忘れてしまう

何も無いというのなら尚美しく
約束されたハッピーエンドを発掘しよう。それは決めたんだ。
正論だけでは到達できない軌道
これは始まり
あの晩ばら撒かれた星屑を探している
Pocketful of stardust
夜に在るのは光。光と言葉
ルールは一つ。ただ美しく

-1地点

銀河のそこかしこでエレクトリック虹の割れる音が響き渡る賑やかな夜、
瑪瑙星屑発掘隊は-1地点での発掘を始めていた。

「-2地点ハ静カダッタケド此所ハトテモ騒ガシイネ。」
「ソウダネ。-1地点ハ完全ニエレクトリックダネ。」
二人のアンドロイド工員の横で赤茶色の猫は額に銀星石を砕いた砂の様な綺麗な汗をかいていた。
「僕はあまり騒がしい音は好きじゃないんだけどさ。」
リズムに合わせて詠いながらツルハシを刻んでいる。
「虹の割れる音は大好きだよ。とても綺麗で。とても哀しくて。
何か言葉を声に変えたらそのまま歌が生まれそうな気分になる。」
二人のアンドロイド工員はホログラムアイを地面に向けたまま頷いた。
「ソレハ確カニソウダネ。」
赤茶色の猫はアンドロイド工員の方へ悪戯な表情を浮かべる。
「ねぇ、ところでさ、僕たちはなんで星屑を掘っているか知りたくなった?」
一瞬の真空の間があった後
「ソレハマダイイヨ」

ブルーダイヤツルハシのBPMは123をキープしている。
Pocketful of stardust -1

2018.2.18 [sun] @TOKYO KAGURANE

Pocketful of stardust -1

ブルーダイヤモンドツルハシのBPMは123だった。
鮮やかなエレクトリック虹の割れる音が響き渡る夜、瑪瑙星屑発掘隊は-1地点での発掘を終えようとしている。
旧型アンドロイド工員のホワイトノイズの混ざったボイスがいつもと同じボリュームで響き渡る。

ソレデハ皆サンオ疲レ様デシタ。今回発掘デキタ星屑Pocketful of stardust -1Pocketful of stardust -1コレニナリマス。
ナオ今回ハ皆サンノ頑張リト、ホンノ少シノ運命ノオカゲデ豊作デシタ。新シイ星屑ハ3ツデス。

「ふふ。やったね。」
赤茶色の猫はその中の一つにムール貝のような耳を添えた。
まるで古いアルバムをめくるように優しく、哀しい仕草だった。
「あぁ、そうか。こんな事があったんだね。」

ブルーダイヤモンドツルハシを背中のバーニアに納めたアンドロイド工員が声をかけるまでの数瞬の間。
世界や銀河から音が消え、ただ星屑の奏でる記憶の中で赤茶色の猫は涙を流した。

「何ヲシテイルノサ?ソロソロ±0(グラウンド・ゼロ)地点ヘ向カウミタイダヨ。」
「うん・・。」
「ドウシタンダイ?ナニカ淋シソウニ写ッテイルヨ。」
「そう見えるんだ?」
「ウン。実ハヨク解ラナイケレド。」
「はは。僕もよく解らないよ。」

エレクトリック虹の割れた残響を背にしながら瑪瑙星屑発掘隊は-1地点を後にする。
ふと振り返りながら猫が呟いた。
「あ〜ぁ。気づいてしまいたくないなぁ。」

その声は誰にも聴かれる事なく-1地点に置いていかれた。
手向の花のように。

紫水晶の記憶

鉄イオンと放射能が夜空を紫に染め上げている。
あれは果して本当に敗北だったのだろうか?
さっきから思い出そうとしている全ての唄、全ての名前、表情。
夜空はまるで広大な墓場のように遠くにあって、憎しみや狂気さえわけあってしまった可哀想な地上、
神が割った鏡の中、今この空間には誰も当事者なんていない。
お前は誰?

「ナンテ哀シクテ冷イ星屑ダロウ?
マルデエレクトリック虹ノ割レタ音ガソノママ閉ジ込メラレテイルヨウダ。」

「それはね、『イプシロンは泣いてたよ』だよ。」
どこかに心を置いて来てしまった表情で赤茶色の猫は呟いた。

この恐怖がある内はまともなんだと思ってた
醜くくなる事 心に錨を下ろす事
でもわかったんだ
あの日許した憎しみは下劣な笑みで媚びてただけで
僕も一緒だったよ
何も見えなくなったけど
夜空に星屑なんて絶対無かった

復讐をするんだ。
嗤って。

番外編 弦が切れない限り

少しだけ暖かくなってきた季節の中、艶の無い漆黒の暖炉は暇そうにしている。
アクリルクリスタル製のロッキンチェアーに揺られながら
赤茶色の猫は弾けないギターを弾いていた。

スーサイドビーチの〜スニャハマは〜

何時に無く調子が良い。
赤茶色の猫は喉をゴロゴロコロコロと鳴らし、目を瞑りながら唸っていた。
音楽は何時だって心を好きな場所へ連れて行ってくれる。
弦が切れない限り。

これは最高だにゃ。

赤茶色の猫は拾ったウルテム樹脂製の星屑をティアドロップ型に加工していた。
これでもう爪が弦に引っ掛かって切れる事が無い。
それだけでまるで世界が救われたかのような気持ちになる。

さて、もう一回歌うにゃ。

赤茶色の猫が優しく握るウルテム星屑ウルテム星屑ウルテム星屑は怪しく光るホログラムに輝いていた。


スーサイドビーチの〜スニャハマは〜

「相変ワラズ酷イ唄ガ聴コエルネ。」
「ウン。マタアノ赤茶色ノ猫ダ。」

体に悪い色のアルコールを出すBARから出てきたアンドロイド工員達が
幽霊のリズムでターミナルステーションへと向かう時刻。
彼らのイヤーセンサーは赤茶色の猫の唄声をキャッチした。

「デモ前ハコードモフレーズモヨク解ラナカッタケド」
「ウン。一応ギターノ音ガ聞コエルネ。」
「デモ。」
「ウン。ヤッパリ酷イ唄ダ。」

赤茶色の猫の脳内宇宙旅行をBGMに
アンドロイド工員達は幽霊のリズムで歩いていく。

「ア。ソウダ。忘レテイタ。」
「ウン。ボクモ忘レテイタ。」
「コレヲ赤茶色ノ猫ニ渡サナクチャ。」

アンドロイド工員の手には靴下靴下靴下が握られている。
−2地点も−1地点も地表には有機EL石が散りばめられていた。有機EL石有機EL石
赤茶色の猫は気にしないが、肉球の保護にとアンドロイド工員達が用意した靴下だ。

「ソウイエバ猫ッテ靴下が4ツ必要ナノカナ?」
「サア?デモココニ2足分ノ靴下ガアルカラ2ツトモ持ッテイコウ。」

スーサイドビーチの〜スニャハマは〜

「だいぶ上手く弾けるようになってきたにゃ。」

赤茶色の猫は満足気に呟いた後、ボトルボトルボトルに入ったエーテル水を飲み干した。
喉を潤してまた違う場所へ心を遊ばせる。
弦が切れない限り。

±0地点

気づいてしまいたくないんだ。気づいたら終わってしまうんだよ。
選んだ言葉よりいつもほんの少しだけ弱かった僕たちが其処に居た事。
あんなにも傷ついて、何回も壊しながら重ねた未来
もしまだ君が失いたくないものばかりで溢れているのなら。
もう少しここで星屑に耳をあてていようよ。
Pocketful of stardust ±0

2018.04.01[sun] @TOKYO SHINDAITA FEVER



幾星霜ものパラレル宇宙の隅の方、全ての哀しみが燃え滓になった蒼の中、
ブルーダイヤ製の刃を付けたツルハシの音は止んでいた。
BPM0の静寂の中で赤茶色の猫は肉球の中で光る小さな星屑を見つめている。
地表はマジョーラ。天は極彩色。
少しだけ滲んでしまった躊躇いの表情をポケットにしまいこんで、
今、静かに赤茶色の猫はその星屑に耳を添えた。
ムール貝のような耳を。

さて、思い出話はここまでにしよう。
目をみて笑うだけで僕たちは生きていけるのだから
願わくばこの先どこかふとしたロマンチスズムの中で君が何か大事な事を思い出そうとするときに
邪な横槍が入らん事を。
まばゆさは一瞬で永遠を変えるんだ
星屑を散りばめた軌道
僕や僕たちが慈しみだけで生きた日々の記録と記憶
言葉 未来 心 思い出その全て

確かにその声は自分の声だった。
「あぁ・・。わかったよ。」

その瞬間柔らかな光が赤茶色の猫を包み込む。
星屑星屑星屑の数を数えているアンドロイド工員達の方をチラリと見た後、
赤茶色の猫は誰にも聴こえない声で囁いた。
「ありがとう。またどこかで。」
赤茶色の猫は笑っていた。笑ったまま消えていた。

「アレ?赤茶色ノ猫ガ居ナイヨ。何処ニ行ッタノダロウ?」
「サァネ。家二帰ッテ歌デモ唄ッテイルンジャナイ?」
「ナンダ。残念ダナ。」
「ドウシテサ?」
「±0地点デノ発掘ガ終ワッタラ聞コウト思ッテタンダ。」
「何ヲ?」
「例ノ僕達ガ星屑ヲ発掘スル理由サ。」
「アァ。ナルホド。」
「ソレニ。 サ。折角発掘ガ終ッタノニ。」
「ウン。」
「友達ガ居イナイノハ淋シイジャナイカ。」
「ソウダネ。」

遠くの方から旧型アンドロイド工員のホワイトノイズまみれだが牧歌的なボォイスが鳴り響く。

「サァ、皆サン、此レニテ±0地点デノ瑪瑙星屑発掘夜会ハ終了トナリマスガ、此処カラハ未来デアリマス。
可能性ハ幾星霜。我々ハ枯レナイ一輪ノ薔薇ノ気高サデ+1地点ヘト向オウデハアリマセンカ」


「マ、モウ少シ先ノ未来デイイカ。」
「ソウダネ。」

BPM0の静寂の中で悪戯好きな舌打ちが聞こえる
「ちぇ。詰まんないの。」

「ン?」
「アレ?」
「聴コエタ?」
「ウン。キャッチシタ。」
「全ク何処二隠レテルンダ?アノ猫ハ・・」
「マ、ソノ内出テクルサ。」

幾星霜ものパラレル宇宙の隅の方、全ての哀しみが燃え滓になった蒼の中
物語が一つ呼吸をしていた。
これは終わり?
それともハジマリ、ハジマリ?

あの晩ばら撒かれた星屑を探している
Pocketful of stardust
夜に在るのは光。光と言葉
ルールは一つ。
ただ美しく
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Pocketful of stardust